第57章 絶対君主には成れずとも$ 中巻
「やめて!」
「義勇様…」
「……出て行くのは良いが、勝算はあるのか?」
「大丈夫です」
ビリっ!
布がちぎれる音がする。
「永久(とこしえ)に 揺らぐ水面に 映せしは 汝(なんじ)の心と 愚に染まん!」
バァンっ!
謌と共に朔の周りに集まった水。
小さな球体に似た形状をしていたそれは、波紋を広げるように一瞬で大きく膨れ上がり、破裂すると同時に水の刃となった。
水の刃がノアズアークの隊員達に迫る。
「響応の謌。………やはりお前がエディルレイドだったのか!」
隊員たちの目の色が変わる。
「義勇様。私と同契(リアクト)の謌を歌って下さい」
「歌う?」