第56章 新年用読切 新しい年を貴方と$
蓋(ふた)を開けて、桃色の飴玉を取り出して口に放り込むと白藤に口付ける。
チュ。
「ん……」
ぐぐ、コロ…
宇髄の口に入っていた飴玉が白藤の口内に送られる。
「溶けるまで交換な?」
言われるがまま、口内の飴玉を舌を使って互いに送り出す。
もう、飴玉の味よりも互いの唾液が、口の端から溢れる程に口付けに翻弄されていく。
だんだんと赤みを増していく白藤の頬と潤んでいく瞳。
この分だと飴玉に洋酒が入っていたことにも気付いていないかもしれない。
白藤は見目に引かれて、選んだのだろうが、これはウイスキーボンボンだ。
名前を聞けばチョコを連想する人もいるだろうが、そのキャンディ版もあるのだ。
白藤はもともとアルコールに強い方だから、舐めていても特段抵抗はなかったのだろうが、苦手な場合は吐くヤツもいるらしい。