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鬼滅の刃R18 藤の花嫁

第56章 新年用読切 新しい年を貴方と$


彼に手を強く引き寄せられて、男性から距離が出来た。

必死に彼の腕にしがみつく。

だって、本当に怖かったから。

「他人の女に目移りするような男はろくなモンじゃねぇよ」

彼の言葉は静かに、でも確実に怒気をはらんでいた。

このままこの場に留まれば、彼は隣にいた男性の腕を容易く折ってしまうかもしれない。

「天元さん…車に…」

花火を尻目に人だかりから抜け出て、飲みかけのグラスをスタッフに返し、二人で展望台から降りる。

「……戻るぞ?」

黙って頷き、彼の手を握り締める白藤。

失敗だった。

ただ少し、普段と違うデートをしたいだけだったのに。

彼女に震えるほど怖い思いをさせてしまった。

二人で車に戻る。

助手席に乗っている彼女の震える手を握る。

「白藤、すまない」

「ううん。天元さん、気付いてくれてありがとう」

「触られただけか?どっかに傷とか、つけられてないか?」

「大丈夫、ごめんなさい。両手が塞がっていて、気持ち悪いのに、抵抗出来なくて……」

「辛かったな。すぐ気付いてやれなくてすまない……」

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