第56章 新年用読切 新しい年を貴方と$
「ドリンクのサービスでございます。アルコールのサービスもありますが、どうなさいますか?」
「白藤、少し飲んだら?」
「え?でも…」
「近くに車停めてあるし、ちゃんと送ってやっから心配すんなよ」
「じゃあ、カクテルを」
「女性向けはこちらに」
「天元さんのオススメは?」
「この中ならカルーアだな」
「では、それを」
「かしこまりました」
カルーアミルクを左手に取り、天元さんの手を右手で握る。
本当に幸せだ。
隣に彼が居る。
だから安心していた。
さわさわ。
スカートに違和感を感じた。
ドリンクを受け取っている人以外は皆視線は花火に釘付けだ。
首が動く範囲で周囲の様子を見るも、視線は花火に集中している。
手を繋いでいるため、彼に触られている訳でも無いようだ。