第56章 新年用読切 新しい年を貴方と$
「嬢ちゃん、別嬪だなぁ!」
酔っぱらいが絡んできた。
「私ですか?」
「嬢ちゃん、どこのお店の子だぁ?」
どうやら、キャバ嬢あたりにみえるらしい。
私以外にもドレスを着た女性は大勢居るのに……
「おっさん、コイツ俺のだから。他、当たってくれや」
「天元さん」
うわぁ、カッコいい。
おじさんは天元さんの一言で怯んだらしく、離れてくれて一安心。
花火が見えるようにと窓際に集まっている人の群れに紛れ、おじさんから距離が開いた。
これで被害はなくなるだろう。
そう、安心した時だった。
カウントダウンの花火が始まった。
「綺麗……」
恋人とタワーでカウントダウンのパーティーに来られるなんて幸せだ。