第56章 新年用読切 新しい年を貴方と$
車で向かったのは、ビアガーデンの側にあるレストラン。
イタリアンでちょっと有名なこのお店でコース料理を食べられるなんて。
「美味しいです、天元さん」
「そうか、良かった」
と、その時。
窓際の席に座っていたカップルの男性が言った。
「俺と結婚して下さい!」
一瞬、時が止まったかのような静寂。
「………えぇ、もちろん」
他人の事とはいえ、プロポーズが成功して良かったと思う。
良いなぁ、幸せそう。
「白藤」
「天元さん?」
もしかして、この流れでプロポーズ?
「そろそろ時間だ、行くぞ」
タワーのカウントダウンパーティーは加盟店のレストランで食事をし、会計時のレシートをタワースタッフに見せれば花火の見える展望台まで案内してくれるのだ。周りはもちろんカップルだらけ。
でも、中には冷やかしの酔っぱらいもいる。
そんな事を思っていた矢先……