第55章 スルタン企画 絶対君主には成れずとも$ 上巻
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「ん……」
柔らかい。というか、暖かい?
ムニュ。
手のひらに触れる膨らみに……
「白藤?」
「あっ…義勇様…もう少し…先を」
「……先?」
慣れ親しんだ声音とは違う響きに冨岡の意識が浮上する。
ふにゅん。
冨岡の口許に柔肌が吸い付く。
「義勇様、可愛い。ちゅうって、吸って良いですよ?」
からかっているのか、人型の姿の朔が冨岡の口許に自ら胸元を近づけているという、他者が見たら確実に誤解される体勢だったことに気付き、急いで離れようとするも……
「起きちゃいましたか?」
「お前、剣に戻るよう言ったハズだが…」