第55章 スルタン企画 絶対君主には成れずとも$ 上巻
一体何なんだ?
冨岡には少年の行動が最早奇行にしか見えない。
「お、あったあった。あれ?コレ…遣り手ババアからもらった訳アリだ」
少年が店の奥から布の巻かれた剣を持ってきた。
「訳アリ?」
少年曰く、巻かれている布は封煌符(ふうこうふ)と呼ばれる代物で剣の強すぎる力を封印しているのだという。
といっても、少年はその遣り手ババアから伝え聞いたことを俺に話したということだが……
「武器から呼ばれるなんて滅多にないよ、お兄さん。こいつ買ってあげてよ」
「とは言っても、生憎金は……」
そうである。
路銀は殆ど無いに等しい。
何せ、身一つで王宮から放り出されたばかりだ。
「なるほどね、お兄さんも訳アリなんだ。じゃあさ、その腕飾り。両腕分と交換してくれる?それなら対等だと思うから」
「分かった」
武器だけ手に入れるつもりではなかったが、今となっては王宮関係者にいつ襲われてもおかしくない。
武器を持ち、身を守ることも必要だ。
「あ、まだ名乗ってなかったね。俺は我妻善逸。その剣。封印解いてみて分かんない事あったら、いつでも来てよ」
「あぁ」