第51章 里帰り$
「おほん」
「左近次様?」
「藤姫殿、こちらもどうぞ」
鱗滝が副菜の八目鰻(やつめうなぎ)の蒲焼きを冨岡から取り上げ、白藤に手渡す。
「あの、これは…?」
「構わず食べて下さい。藤姫殿には精をつけてもらわねば。義勇、おまえは節度を覚えろ」
節度?
精をつけろって……
あれ?
もしかして……
「藤姫殿、虫に刺されているようなので、出来れば肌は隠した方が良いですな」
肌?
「し、失礼します!」
居間を飛び出していく白藤。
「何だ?」
「義勇よ……」
今度は違う意味で頭を抱える鱗滝だった。