第51章 里帰り$
「私は白藤と申します。水柱様におかれましては、先の下弦の五、撃破の折に負傷されたとのこと。相違ございませんか?」
「はい」
力なく応じる私に彼女は告げる。
「貴方はこのままでは確実に死にます。ですが、24時間以内に私を抱けば免れます。不躾ではございますが、このまま夜伽の相手をさせて頂きます」
私の天狗の面を外すと、彼女はいつもの冷笑を浮かべる。
「愛らしい顔なのに隠してしまうのは勿体ないですね、血鬼術・不治露」
彼女が私の唇に自分のそれを重ねる。
ゆっくり口内を彼女の舌が蹂躙する。
すると、不思議と体の裂傷が癒えていく。
残すは腹の傷。
呼吸で臓物が出ないように筋肉を引き絞っていたのだが、段々と楽になってきた。
「これは……」
「表面の傷は直ぐに治りますが、内部の損傷には時間がかかります」
私の胸元から腹にかけて彼女の指が肌を滑る。