第51章 里帰り$
「先日言いましたが…」
「あぁ、同居を許されたのだろう?」
「はい」
「だが、そこまでだ。義勇、彼女は虚ろだ。数百年前に居合わせた剣士以外で彼女の心を動かせた者は誰一人として居ない」
「虚ろではありません…」
「義勇…彼女にとっては我々は食事と同じだ」
「白藤は…」
「義勇……」
くそ、何故違うと言えない。
師範の言葉を否定しようとすれば、白藤の言葉が甦る。
『忘れられないのです』
あの時、俺は言ったのだ。
忘れなくても良いと。
ただ傍に……
居てくれさえすればと……
「藤姫殿がお待ちだ。一先ず中へ入るぞ」
「はい…」
確かに驚かれはすると思っていたが…
諦めろ、か……