第51章 里帰り$
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「白藤…」
「おはよう、ございます」
目元を擦りながら目覚めた白藤にもうすぐだと告げると、意識がはっきりしてきたようで、キョトンと目を見張る彼女。
「……もう少し早く起こしてくれても……」
「歩けるか?」
「大丈夫そうです」
まさか眠ったまま運ばれるとは。
恥ずかしい。
まだ日中。
笠を被っているとはいえ、油断はできない。
「あそこだ」
久しく会って居ないから、どうされているのかしら?
「師範だ」
天狗の面にあの波飛沫の羽織。
「あぁ、着いたか義勇と……藤姫殿?」
「お久しゅうございます、左近次様」