第51章 里帰り$
それぞれ岩陰で着物を脱ぎ、湯に浸かる。
先程冨岡にタオルは体に巻くなと言われてしまったので、裸で入っている白藤はお湯に色が着いていて良かったと少しだけ安心していた。
「どうかしたのか?」
「いいえ!」
冨岡さんの体……
傷だらけ。
それだけ、沢山の人を助けてきたんですよね……
白藤の視線に気付いた冨岡が口を開く。
「俺ばかり見るな」
「えっ?すみません!!」
そう言われて凝視していたことに気づき、体ごと向きを変える。
嫌だったのかな?
でも、えっと……
「白藤…」
あれ?
さっきまで離れてたハズなのに、この感じはまさか真後ろに居るんですか?
と、いうことはお互いに背中を預けて、入浴しているってことで……
思考がぐるぐるし始めてきた時に湯の中で冨岡に手を掴まれた。
ドキっ。