第48章 失意の夜$
「白藤?」
小刻みに体を震わせる白藤を背中から抱き締める。
「嫌…」
「俺だ。白藤…」
「……冨岡さん…?」
「ああ…」
「顔見せて下さい…」
「ん…何だ?」
冨岡の胸元に飛び込んで、きつく抱きついた。
「冨岡さん、冨岡さん…」
「どうし…」
「私は……もう必要ありませんか?」
「……どういう意味だ?」
「今日、非番だったんですよね?」
「………あぁ、悪い。実は…これを買いに行っていた…」
冨岡の隊服から取り出されたものは…
「これは……」
「紅だ…俺では選べなかったから胡蝶に頼んだ」
「貰って…良いんですか?」
「お前の為に買ったんだが…?」
「……付けてみても?」
「あぁ、見たい」