第45章 里帰り$
「白藤…」
「大丈夫です、一緒に行きます。ただ日中の移動は私…」
「大丈夫だ、俺が背負う」
「そんな!」
「狭霧山まではどうやっても日を跨ぐ。それにお前を担いだくらいでは負担のうちに入らない」
確かに移動手段としてなら背負って貰った方が早いのだろうけども……
「ですが…」
「それに、もう一つ」
「もう一つ、ですか?」
「あの場所には俺の朋友(とも)が眠っている」
白藤は以前冨岡から聞いた少年、錆兎の事を思い出した。
「この前お話されていた、錆兎様でしたか?」
「あぁ。沢山話す、知ってもらいたい。お前の事を知れたように」
「……ありがとうございます」
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「わぁ…」
他里に来ること自体、何年ぶりだろう。
狭霧山が近くなるほどに緑が多くなっていく。
「白藤、大丈夫か?」