第6章 藤に詩へば$(無惨裏)
「これは良い兆しです。すぐにまた改良を施して参ります」
こんなにも見てくれが変わってしまったのに、良いとは、何なのか……
腑に落ちないことはあれど、舞山の為になるのだと自分自身に言い聞かせた。
薬師は逃げ帰るように走り去った。
私は白くなった髪をお兄様に見せたくなくて、結い上げた髪に手拭いを巻いた。
「白藤、手拭いなんて被ってどうした?」
「お兄様、寝ていて下さい…」
「大丈夫。白藤、顔をよく見せてくれ」
ハラリと舞山によって手拭いを取り払われ、白くなった髪を見られた白藤は俯いた。
「私への心労でお前の髪が白くなったのか…」
「そんなことはございません!私は…」
薬の実験台になったことは言えない。
お兄様に心配をかけてしまう。
「いつも、すまない」
「いいえ。いいえ…そんなお言葉、私には勿体無うございます」
お兄様は何も悪くない。