第44章 薄氷$
台所に残った白藤は一人黙々と片付けをしていた。
「………」
まさか冨岡さんがあんなに怒るとは…
「どうしたら…」
私は自由に出来るお金はないし、冨岡さんの欲しいものにも皆目見当がつかない。
私ばかり与えてもらうのは、やっぱり不公平なのではないか。
「でも…」
何で返せば、良いのだろう…?
そんなことばかり考えていると…
「白藤さん?」
「あ、炭治郎君」
「片付け、お疲れ様です。すみません俺たち白藤さんに頼りっぱなしで…」
「いいえ、私は別に…冨岡さんのお役に立ちたかったんですが、失敗してしまいました…」
無理をして笑顔を作っている白藤を見て、炭治郎は胸の奥がツキりと痛んだ気がした。