第44章 薄氷$
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「ん……」
「起きたかァ?」
「不死川様、すみません…」
「お前謝ってばっかだなァ」
ぐしゃぐしゃと頭を掻き回される。
「ちょっ…不死川様…!」
「はっ、顔見えなくなるくらい髪伸ばしやがって…」
「普通じゃないですか!」
止めてくれないので、少々ムキになる。
「色も白ェし、こんな細腕で…誰守んだよ?」
またからかわれたのかとも思ったが彼の瞳は真剣で……
「誰も守れないかもしれません…でも…守られるだけはもう嫌なんです…」
「……そォかい」
ポンと頭を撫でたかと思ったら、いつの間にか移動した不死川さんはじゃあなと後ろ手に手を振って、屋敷を去って行きました。