第38章 春恋パンケーキ
「パンケーキ?」
初めて聞く名前の食べ物だ。
「とっても美味しいのよ♪」
そう言いながら、甘露寺がばくばくと大量のパンケーキを頬張っていく。
「………」
「沢山食べてね?」
さすがにこの山盛りは食べ切れる自信がないのだが、白藤は初めて目にする食べ物を暫く眺めてから、その切れ端を一口頬張った。
素朴な、けれどもふんわりと優しい甘さのパンケーキがとても美味しく感じられた。
「ついでに白藤ちゃんのこと色々知りたいなぁ。誰が好きとか」
ほんわかした笑顔を浮かべながら笑う甘露寺。
「あの、甘露寺様…」
「あ、そういえば白藤ちゃんは今、冨岡さんの所に居るのよね?」
「えぇ、まぁ…」
甘露寺の真似をして、パンケーキに巣蜜をかけてみる。
先程同様ゆっくり口に含むと、ほろ甘いパンケーキに巣蜜の濃厚さが際立って……
これは、おいしい。
文句なく。
でも、冨岡さんに出すなら少し甘いかな……?
「ねぇ、白藤ちゃん。冨岡さんの所でちゃんと生活出来てる?」