第32章 しおり100拍手200御礼 今夜はお気の済むまま$
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「ん…」
まだ眠気の残る体を引き摺りながら目を擦る。
「目が覚めたか?」
鼻を擽るこの匂い。
どうやら何かこさえてくれたようだ。
「何もないよりはいいだろう?」
そう言われ、冨岡に差し出された椀には雑炊が盛られていて。
「有り合わせで悪いな」
そう言われた通り、確かに雑炊の具材は青菜などの山菜が中心だった。
誰かに食事を用意されたことなど、ただの一度もなかった。
冨岡は雑炊を受け取った白藤がぽろぽろと涙を流し始めて狼狽した。
「どうした?」
やはり雑炊では口に合わないのか?
「いえ、すみません。…誰かに食事を用意されたことがなかったもので…」
「……そうか」
「冨岡さん、ありがとうございます…あ、そういえば御館様から頂いたものがあるんです」