第33章 流るるままに$(時透、煉獄、宇髄裏夢)
「ったく、無茶してんのはどっちだっての」
禰󠄀豆子の変化を見届けて、気が抜けてからというもの、その場から動けなくなった白藤は宇髄に担がれ、唯一被害の少なかった宿屋に運ばれた。
「ごめんなさい…」
素足で駆けた白藤の足はあちこち擦り切れ、日光が当たったために、ふくらはぎには痛々しい火傷の痕が残っている。
「あんな陽射しの中にのこのこ出てきやがって。あと少し遅かったら、お前の足が使い物に成らなくなるところだったろ?」
「そうだぞ、藤姫殿。他人の体ばかりじゃなく、自分の体も守らなければな!」
まくし立てる二柱に最年少の彼が問う。
「ところで、どうして僕たちを集めたんですか?」
当然、白藤とも初対面のため、治療の経験も無い。
「そりゃ、俺らが負傷してっからだよ」
「それが何か?」
頭を傾げる時透。
当然の疑問である。
「あぁ、時透は藤姫殿の治療を受けるのは初めてだったか?」
「治療?白藤さんは医者なの?」
「ほら、白藤……」