第28章 激動
白藤の肌には針が刺さっていないところを見るからに、煉獄は自らを省みず、自分たちと彼女を守ったことになる。
「頼めるか?」
「うん、鉄穴森さんとお姉さんを守るよ」
子鉄の言葉に煉獄は弟に声をかける心持ちで言った。
「よくぞ言った。君は偉いな」
時透と肩を並べて、煉獄は技を繰り出す姿勢に入る。
「やるぞ、時透」
「はい」
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「ええい、まだるっこしい!!可楽!!この建物を吹き飛ばしてしまえ!!」
積怒と可楽が向かってくる。
「カカッ、言われなくともそのつもりじゃ」
ゴウッ。
葉団扇の起こす強風によって、轟音と共に建物が吹き飛ぶ。
考えろ!!
敵に大打撃を与える方法を。
すぐに回復させない攻撃を。
「カカカッ。随分見晴らしが良くなったのう」
額に手を当て、積怒は満足そうに笑う。
「さあ、これでちょこまかと隠れる場所はない。お前の仲間は仲良く瓦礫の下じゃ」
さも、愉快といった風情の積怒に対して。
「どうだかなァ、てめぇらの寝首引っ掻くために俺の部下たちも気張ってんだぜ」
ぐぐぐと積怒の錫杖を押し返しながら、不敵な笑みを浮かべる宇髄。