第27章 目覚め
目前に迫った鬼に向かい、白藤が血鬼術を行使する。
「血鬼術・藤霧!!」
フゥーっと藤の毒をかけられ、鬼が怯む。
その隙にあばら家の近くまで走る。
背後から鬼が追ってくる気配がする。
ああ、もうダメだ。
杏寿郎様はあちらで鬼の対処に当たっている。
こちらには来られない。
白藤は子鉄少年を抱きしめたまま、ぎゅっと目をつぶる。
時透は水獄鉢の中で自分の内側から聞こえる声に集中していた。
人のためにすることは巡り巡って自分のためになる。
そして人は自分ではない誰かのために信じられないような力を出せる生き物なんだよ、無一郎。