第24章 それぞれの戦い
あの鬼は何かを察知して逃げてしまった。
このまま追うべきか。
「藤姫殿?」
茂みに隠れていたはずの白藤が居ないことに気付いて、煉獄は辺りを見回した。
「ヒョッヒョッ」
気味の悪い笑い声。
「うぐぅっ…」
藤姫殿…!!
何故あんな格好に。
裸の白藤の体には帯が巻き付けてあり、腹部には血がこびりついた刀が刺さっている。
鬼と対峙しているのは、最年少の時透だ。
彼とて柱だ。
冷静に対処できるはず。
ここは…彼に任せて、逃げた鬼を追うべきだ。
頭では分かっている。
でも……
「悪い、宇髄。俺は藤姫殿を失いたくない…」