第21章 戦闘開始
ここで足を止める理由はない。
里全体が襲われているなら、まず里長。
技術や能力の高い者を優先して守らなければ。
そう、少し前ならば、時透は切り離して考えただろう。
だが、今は……
「げぅっ!!!」
人のためにすることは巡り巡って自分のために。
炭治郎の言葉を胸の内で反芻する。
はっきりとは分からない。
けれども、覚えがある。
その言葉に、その重みに。
ザン。
子鉄少年を捕まえていた鬼の腕が斬り落とされる。
「うぐっ!!」
不気味な金魚のような鬼はのたうち回る。
受け身をとれずに、その場に倒れた子鉄少年の目の前に。
「邪魔になるから、さっさと逃げてくれない?」
時透が助けに入る。
ザン。
びちびちびち。
頸と思わしき場所を斬ってもこの鬼は体が崩れず再生。
じゃあ、こっちか。
バカっ。
鬼の近くにあった媒介と思われる壺を破壊する。
ボロ…
鬼の体が崩れる。
壺から力を得ていた…
やはり血鬼術で作られたもの。