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鬼滅の刃R18 藤の花嫁

第77章 契りて繋がる縁たち$(冨岡裏)


「二人とも何かあったのか?」

「義勇さん、私は御館様に呼ばれていますので少し席を外します」

「そう、なのか?」

「ええ、終わり次第戻りますので」



白藤が居なくなってから、二人の間に沈黙が流れる。



「冨岡さん。今日は、おめでとうございます……」

「胡蝶、何か怒っているのか?」

「怒ってません。私は………」

「胡蝶?」

「冨岡さん、私は……………でした」



『貴方が好きでした』



「胡蝶。すまない。俺は、お前を異性として見ようとしなかった……」

「は?」

「俺は……何も知らない振りをして、柱になった後も、ずっと耳を塞いだままで……」

「冨岡さん?」

「逃げ回っていたのは、俺の方だ……済まなかった」



謝罪が欲しい訳じゃない。



「謝られても、嬉しくなんてありません……」

「そうだな。俺が白藤を愛しているのは変わらない。だが、胡蝶。今からでも間に合うなら、俺はお前の朋友(とも)だと胸を張って言えるような男に成りたいと思っている……」



しのぶは少しだけ胸の奥が痛むのを感じつつ、涙を堪えて笑みを見せる。


ここで泣く訳にはいかない。



「……何ですか、それ?……それを言うなら、私達は戦友、ですよね?」

「ありがとう……」


この恋が実ることは無かったけれど、言葉にしてようやく心が軽くなったのを胡蝶は自覚した。


「それでは、また」

「ああ、またな」


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