第77章 契りて繋がる縁たち$(冨岡裏)
虚しさから胡蝶は己の身体を慰める。
小さな体に大きな影を背負って。
目を閉じ、快感を求める彼女が何を思うのか。
魅影は知っている。
白藤の笑顔としのぶの泣き顔を。
あとは静かに、月光だけがその場を照らしていた。
魅影は音もなく飛び退る。
次の目的地へ向けて。
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刀鍛冶の里。
カァン、カァン!!
鉄を打つ音が響く。
とはいえ、今里が作って欲しいと依頼されているのは日輪刀ではなく、家庭用の包丁である。
「毎日、刀の次は毎日包丁か……」
「手を止めるなー!!」
「うるせぇ!!」
鋼鐵塚蛍は木の上によじ登って月を見上げた。
里長の野郎、見合いしろだのうるせぇんだよ。
荒んだ心を落ち着かせようとした所だった。
バサッ。
羽音と共に月からの使者が降りてきた。
鋼鐵塚は魅影に目を奪われて、木から落ちた。
「いてて……こいつは、たまげたな」
純白の梟なんて滅多に見かけない。