第77章 契りて繋がる縁たち$(冨岡裏)
改めて、祝言の準備と言われると……何をしていいのやらと頭を抱えた冨岡だったが、姉の蔦子が花嫁衣装の準備をしていたのを思い出し、とりあえずはと、藤の屋敷の女将に伺いをたてたのだが……
「水柱様……花嫁衣装って、本当に白藤様と……?」
「他に相手は居ないが?」
ピシャーンとそれこそ落雷でも落ちたのではないかと言うくらいの表情をした後で、女将は立ち上がり、冨岡の手を握る。
「お任せ下さい!私どもが全力でお手伝いさせて頂きます!」
「……よろしく頼む」
「手台から勘定方までバリバリ動きな!忙しくなるわよー!!」
「女将は、頼もしいな……」
冨岡のはにかみ笑顔を初めて見た女将は赤面しながら、走り去って行った。
冨岡は藤の屋敷に常駐している鴉の紫(ゆかり)に本部への報告を頼んだ。
勘三郎では数日かかってしまうだろうし、年老いた彼にも休んで欲しいというのが、冨岡の本音だったからだ。