• テキストサイズ

鬼滅の刃R18 藤の花嫁

第74章 春待ちて、芽吹く想い


「これは……」

「愈史郎殿に描いて貰いました。君に受け取って欲しい。彼女もきっと、それを望んでいると思うから」



冨岡は白藤の絵を抱き抱えて涙を流す。



「君にはとても辛い戦いだったろう。……遺骨の残らない、彼女が居た証として受け取ってくれないだろうか」

「………勿体のうございます……」



冨岡はその絵を大事に持ち帰り、寛三郎の待つ屋敷へ帰る。


彼女が居なくても、闇ばかりではない。


たくさんの人間が彼女を覚えていてくれる。



「白藤に、また会えたな」



流れ続ける涙を拭いながら、冨岡は本邸の庭を見つめる。


彼女の亡き後、生えてきた藤の若木に幾つか蕾を見つける。


春を待つその花が咲くことを、冨岡は待つことにした。


藤が咲く頃に、また彼女に逢える気がしたから。





ー了ー



/ 2015ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp