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鬼滅の刃R18 藤の花嫁

第77章 乞い願う、光を求めて


「道摩法師……」


部下にジト目で睨まれ、居心地の悪そうに後頭部をガシガシと掻く道満。


無精髭まで生やした道満は、自ら田舎者と名乗るくらいに無作法者といった風体をしていた。


辛うじて烏帽子が引っかかっているようなざんばらな髪。


唐の国伝来の眼鏡に、無精髭。


狩衣とて、着古したような縹(はなだ)色の物を着用している。


ぼりぼりと頭を掻く指からは、ふけの塊がぼろぼろと零れてくる。


見るからに、そぐわない男であるにもかかわらず、その男の纏う空気だけが、他者とは違うのを肌で感じるのだ。


「して、産屋敷殿。これからお屋敷へ伺っても宜しいでしょうか?」


「道摩法師、先触れもなしにそんな……!!」


明らかに動揺する部下を見てもその飄々とした態度は変わらない。


「産屋敷殿とて、自ら足を運ばれたのだ。下位である私が自ら動かず何とする?」


言わんとしていることは真っ当なのだが、底の知れない笑みを浮かべるこの男を、信用していいのかと、疑問が首を模たげてしまう。

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