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鬼滅の刃R18 藤の花嫁

第76章 違えし縁


いつからか、追い求めて『生』に縋ろうとした。

彼女の隣に在りたいと願うようになってからは特に。

来年も二人で藤の花を見上げられるか分からない。

恐らく私は彼女を置いて、彼岸に渡る。



だが、心がそれを受け入れられない。



『生きたい』



舞山は名も知らぬ薬師を雇ったのも、その願いを叶える為だ。

残された日々を可能な限り、長く。

彼女の隣にーー



二人で出掛けたい場所がある。

同じものを食べて、気兼ねなく笑って。

時間を気にせず、のんびりとしたそんな何気ない幸せを。



「私の願いを叶える為に手を貸してくれるか?」


「ええ、勿論。今日、この日より、橘の君の病を治すべく、この身を粉にして尽力致します」



その日を境に、舞山が薬師を屋敷に招く様になる。

薬師の薬と一人の男の思惑に翻弄されることを、この時の舞山はまだ知らない。




ー了ー

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