第72章 乞い願う、光を求めて
危うい均衡で命を繋いでいる彼を見て、道満は思いついたのだ。
この男を戦力とする事を。
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道満は細い目を一層細くして笑う。
「鬼舞辻無惨。貴様は私の作り上げた最凶の化け物だ。だからこんな形で殺されるなどあってはならない……貴様は殺し続けなければならない。人の血肉を喰らい、頑強な肉体を保持し、今世を混沌へ導くために!」
道満のギラついた主張を聴きながら、無惨は彼の仕草を記憶から手繰ろうとする。
白藤と過ごした時間と同様に、道満に関する記憶を呼び起こそうとすれば、脳裏に白い霧がかかる。
まるで、都合の悪い記憶を排除されているようだ。
「貴様の言うことなど、聞かぬ!」
無惨が道満を睨め付けるが……