第75章 折れない心
「要!!」
煉獄の技の隙間を縫うように滑空する鎹鴉の要は細切れになった道満の体に何かの粉末をかけている。
「よせ!!止めろ!!っ……!!」
よく見てみれば、要が持っているのは藤の花の花粉と藤の実の粉末が入った匂い袋であった。
「藤の花……」
鬼は皆、藤の花が嫌いだ。
そういえば、いつかの折に父上が藤の実に毒性があると話していたことがあった。
『藤の花は毒にも薬にもなる』
父上はこの事を言っていたのだろうか?
「煉獄!!そのまま抑えてろ!!」
宇髄の声に煉獄は素直に反応する。
「音の呼吸 伍ノ型 鳴弦奏々!!」