第75章 折れない心
「ようやく効いてきたようですね」
「珠世。貴様、何かしたのか?」
「無惨に使った物と同じ、鬼を人に戻す薬を貴方にも使ったんですよ」
「そんなものをいつの間に……」
道満が気配に気づかなかったのは、目眩しの呪符を貼った茶々丸が煉獄の打ち込みに合わせて、傷口目掛けて薬を振り撒いたからだ。
弾みで受け身を取り損なった茶々丸は端で蹲(うずくま)っているが、息はしているようだ。
ギリギリであの子を鬼に出来て良かった。
でも、これでもう鬼を人に戻す薬は全て使い切ってしまった。
「炎の呼吸 肆ノ型 盛炎のうねり!!」
煉獄の猛追で道満が血反吐(ちへど)を吐きながら、弱体化していく。
「おのれ……」
先程の炭治郎同様に頸と胴体を泣き別れの状態にしたが、道満は消滅しない。
鬼と同じ方法で殺せないのか……
あと可能性があるとすれば、陽光だろう。
だが、上手く外に引きずり出せたとして、日の出まではあと何刻だろうか?