第75章 折れない心
「あァ?正気か?ソイツは人喰い鬼になっちまったんだぜ……?だから、他の鬼と同様に頸を斬るしかねぇだろ?」
不死川と冨岡の睨み合いになる。
その時、冨岡の背後に居た白藤が急に大人しくなった。
見慣れた背中に、特徴的な羽織。
何故だか涙が溢れてきた。
ぼたぼたと大粒の雫を流しながら、白藤は善逸の刀の鞘を噛み締めたまま、冨岡に向けて手を伸ばそうとする。
先程の飢餓状態とは違う動きを見せる白藤を訝(いぶか)しんだ道満が彼女に向けて、再度呪を唱えようとした、その時。
道満の頸が再度地面に転がった。
「何を……」
「簡単に死ぬとは思っていないが、『蘆屋道満』。お前は俺が倒す!!」
煉獄が名乗りを上げ、道満の頸に足をかけ、今度は口元目掛けて日輪刀を振り下ろす。
「炎の呼吸 壱ノ型 不知火!!」
こんな、人間ごときに……
ザシュッ。
何かがおかしい。
日の呼吸以外で私の体が傷つくなど……