第71章 向かう白、揺蕩う藤色
鬼舞辻の意識は珠世以外に向いていない。
彼女が無惨の食事中に血鬼術を発動させたからだ。
首を狩る好機は今しかない。
四人の柱は音もなく駆け出した。
いち早く抜刀したのは不死川だ。
「風の呼吸 弐ノ型 爪々・科戸風!!」
無惨が無数に伸ばしている鞭のような腕を斬り飛ばす不死川に対し。
「霞の呼吸 参ノ型 霞散の飛沫!!」
最年少の時透が間髪入れず切り込む。
さすがは派生した呼吸と言うべきか、見事な連携をしている。
「鬼殺隊め。小癪な真似を……」
鬼舞辻は白髪になった髪を掻き上げながら、憎々しげに呟く。
無惨が反撃に転じようとしたその動きに合わせて、冨岡と悲鳴嶼が動く。
「水の呼吸 拾壱ノ型 凪!!」
「岩の呼吸 肆ノ型 流紋岩・速征!!」
冨岡の後ろに構えていた悲鳴嶼がここぞとばかりに鉄球を振り下ろす。
その様子を見ていた珠世は倒れ込みそうになった所を玄弥と白藤に支えられた。
「大丈夫ですか?」