第75章 折れない心
「炭治郎……お前……その人と禰󠄀豆子。どっち守んだよ……」
「玄弥……」
「お前、言ってたじゃねぇか!!禰󠄀豆子を人に戻したいって。禰󠄀豆子を傷付けたから俺の兄貴が嫌いだって。今のお前はどうなんだよ!!」
玄弥の言葉に。
炭治郎は直接頬を叩かれたような気持ちになった。
玄弥の言う通りだ。
禰󠄀豆子を護りたいから鬼殺隊に入った。
鬼を人に戻すための薬ができないかと、珠世に協力を仰いだり、家族の為にと思っていた。
でも、鬼殺隊で任務をこなしていく中で、同期や柱達に会って。
彼女にも、治療の名目で会ったのだ。
いつしか性の対象にしてしまったのは、俺のあさましい欲望のせいだ。
叶わぬものほど欲しくなるとは、よく言ったものだ。
冨岡さんの横で笑う彼女が一番輝いて見えるのに、自分の横にいて欲しいと、思うなんて。