第71章 向かう白、揺蕩う藤色
「おい!あれは無惨じゃないか!?」
他の隊士達も現れた。
不味い。
無惨が居るのは通路の真ん中。
隊士達は冨岡達とは反対の通路に居るため、このままでは直接指示を出せない。
せめて無惨に気づかれない様に、隊士達が逃げてくれれば。
このまま混戦になってしまえば、数で優勢になっても無惨の有利になってしまう。
「鬼舞辻無惨。あの人が……?」
御館様の奇襲の折も遠目でしか見えなかった鬼舞辻の顔。
初めて見(まみ)えたはずなのに、鬼舞辻の顔に既視感を覚えて、白藤は困惑した。
何故?
会ったとしたならば、一体それはいつだったのか……
「白藤。どうした?」
「すみません。義勇さん………何でも、ありません」
巌勝様とはまた違う、けれども何故か懐かしい。