第71章 向かう白、揺蕩う藤色
「どうした?」
「………いいえ」
今の声は私の心の中の声なのか……
はたまた得体の知れない何かなのか。
「さて、そろそろ進むとしよう」
悲鳴嶼の一声でその場にいた全員が立ち上がる。
自然と歩き出す方向が二手に別れた。
悲鳴嶼、時透、玄弥が右へ。
白藤、冨岡、不死川が左へ。
向かう先は同じでも、両方を警戒する為だ。
柱が二名ずつ配置に付くのも心強い布陣である。
「無惨!!お前は私と道ずれだ。地獄に落ちろ!!」
「珠世、貴様!!私の体に何を打ち込んだのだ!!」
言い争う声が聞こえた。
間違いない。
この先に鬼舞辻無惨が居る。
その場にいた全員に緊張が走る。
呼吸を整え、出来る限り気配を絶つ。
全員で奇襲をかけるつもりで動かなければ、勝機はない。