第75章 折れない心
善逸が鞘をつけたままの状態で、刀を持ち上げて白藤口元に宛てがう。
鬼であった頃の禰󠄀豆子の口枷のように。
低く唸る白藤に皆が困惑する。
「鬼なのに人みたい。って思ったのは、あなたが初めてだったのに……」
ぎぎぎ。
カナヲが善逸の刀が押し戻されないように鍔を支えに刀を押し込む。
「カナヲちゃん?」
「炭治郎が……私よりも貴方を見ている事は知ってた……」
「え?」
何、何?
これ修羅場ってやつなの?
「炭治郎が好きになる人は……、きっととっても素敵な人で……、私が追いつけない人だって、思ってた……けど……それがただの人喰い鬼だったなんて」
「カナヲちゃん!?」
ちょっと、発言的に色々棘があるんじゃない?
「禰󠄀豆子より、ずっと前から鬼殺隊に居て。ずっと皆を支えて来たんでしょう?」
師匠も、カナエ姉さんも……