第14章 好きって何ですか?$(冨岡裏)
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「ん…」
物音一つしない静かな様子に。
「冨岡さん…?」
もう、任務に向かってしまったのだろうか?
「何だ?」
気配に気づかなかったのは何度目だろうか。
「……任務に行かれたのではなかったのですか?」
「しっかり礼をしていなかった」
出立前に変わりは無いのだろう。
冨岡の身なりはきちんと整えられていた。
「……これを」
手渡された物は小ぶりのガラス玉。
「これは…?」
「ギヤマンというらしい。ここに紐を通して帯留めに使うと聞いた。普段着物を着ているだろう?羽織の礼だ。受け取ってくれ」
「綺麗ですね……」
私には勿体ないとさえ思う。