第75章 折れない心
その時だ。
キュインっ!!
雷光が閃いた。
「雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃 神速!!」
「やるじゃねーの、我妻!!」
この反応速度には宇髄も素直に賞賛した。
誰しもが恐怖心を煽られただろう、この一瞬に。
柱じゃないコイツらまで命張ってるこの場面で。
動かねぇなんざ、男じゃねぇだろ……
「下らない。全て……」
道満の体を取り押さえた者がいる。
「…………」
「なんの冗談だ、鬼舞辻!!」
道満を取り押さえたのは先程まで微動だにしなかった無惨であった。
ーー思い出したことがある。
鬼舞辻無惨が人であった頃の遠い遠い記憶ーー
「お兄様」
彼女と過ごした日々。
屋敷の中に二人しか居ないとしても、寂しさなど感じなかった。
彼女こそが己の光だったのだから。