第75章 折れない心
連携で叩こうかと思案し、宇髄が視線を巡らせると、不死川と伊黒が応じてくれた。
不死川の技で足元を崩し、宇髄の煙幕で視界を狭め、伊黒の毒で制圧するつもりだった。
仕留め損ねた時の保険にと嘴平を前線に出すことは出来たが、彼が飛び出した際に道満が刀印を構えて振り払うと、そのまま瓦礫に突っ込んでしまった。
初めて見た神通力。
人を意のままに操ると言われるのも納得出来る。
だが、だからといって攻撃を止める訳にも行かない。
何がなんでも押し通す、と三人が決意した。
だが、異変を察知した白藤の制止の声を耳にしてから道満が呪符を片手に伊黒に迫っていたのを知る。
間に合わないと伊黒自身が半ば諦めた。
通常では間に合わない距離、届かない間合いであるはずだった。
だが、痣者になった甘露寺はそれを可能にした。
伊黒に危害が加わらないように、前線に飛び出してきたのである。