第75章 折れない心
冨岡と出会って、彼の不器用な優しさに触れて、いつしか心が綻んできた。
芽吹くように。
一緒に居られる時間はそう長くはないだろう。
でも、彼の隣でならと。
そう、思えた。
だから守られるだけでなく、強くなろうとした。
体力をつけて、少しでも動けるように。
一人でも多く助けるために、逃げ切れるような脚力を。
犠牲を増やさないために、高範囲の術を。
今更ながら高望みしすぎだ。
でも、支えたい。
鬼殺隊を。
柱達を。
義勇さんを。
明日を、またその先をと、進むには、鬼のいない平和な世界が必要だと思うから。