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鬼滅の刃R18 藤の花嫁

第73章 弦音に捕らわれぬ事勿れ


何かがおかしい。

そう気づいていても、止められなかった。

衝動、焦燥。

そのどちらに突き動かされているのか、自分でも分からない。

ただ一つ、彼女にだけは知られたくなかった。

陽の光の下を歩けないのは、私が卑しいからだ。

腕のひと払いで誰ぞを屠(ほふ)り、その血で塗れた肉を喰らう。

とても、人とは思えない所業だ。

ならば、私は彼女の元から消えなくてはいけない。

穢れに触れたものが気枯れるように。

私こそが穢れの元になるのならば、尚のこと。

『白藤』

白く、穢れのない心を持つようにと、名付けたと聞き及んでいる。

彼女は見目も器量も素晴らしい女性だった。

共に暮らせる事が誇りだった。

だからこそ………

無惨の足は闇夜を進む。

月明かりすら差さぬ、深淵へと歩みを進める。




ー了ー



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