第73章 弦音に捕らわれぬ事勿れ
ーー白き乙女は捕らはるる。
呪(まじな)いの檻に囚われる。
藤の合わせ色目の装束を、身に纏うは白き乙女。
籠目の檻の中にいて。
白き乙女は眠り続ける。
迎えが来るまで滾々(こんこん)とーー
舞山は直ぐに屋敷の異変に気付いた。
白藤が居ない。
やはり、あの薬師が。
彼奴は善人の皮を被った悪人だ。
舞山は血眼になって薬師を探した。
陽の光を浴びられなくなってしまった舞山は黄昏時から少しして、月が上る頃から屋敷を出た。
薬師の薬で疲労は少なくなったが、活動を制限されていることに変わりはない。
舞山は苛立っていた。