第73章 弦音に捕らわれぬ事勿れ
だから、私の親代わりは榊。
榊は私を厳しく育てた。
けれども時折、やさしく手を差し伸べてくれる彼女が白藤は好きだった。
榊がお前も年頃になったら、縁談をして世帯を持つようにと言われた。
世帯…………
叶うならば、お兄様とこのまま一緒に暮らしたい。
白藤の願いはそれだけだった。
薬師から渡された薬を白湯で流し込み服用する。
「ぅ、く………」
変化は直ぐに現れた。
白藤の髪がその場で変わり始めた。
地肌から白く染まっていく。
目眩を起こし、白藤が転倒する。
視界が回る。
立てない。
「白藤様!!」
意識が遠のく。