第72章 邂逅、別離
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縁壱は痣者ながら生き長らえ、長きに渡り鬼殺隊の柱を担っていた。
晩年は齢(よわい)八十を越える程になり、剣士を育てながらも独自に鬼舞辻を追っていた。
そうして、最後の時が訪れる。
数十年の時を越え、兄弟の再会となった。
「お労しや。兄上」
枯れ木のように細くなった弟に鬼となった巌勝は驚いた。
思っていたより歳月が経過していた事に縁壱の姿を見て気が付いた。
嗄(しわが)れた声で俺を呼び、涙を流す弟だったはずの老人は、流れるような動作で刀を抜いた。
醸(かも)し出される気迫は歳を重ねた分だけ凄みを増していた。
やはり弟は、縁壱は最高峰の剣士だと確信した瞬間だった。
この戦いで勝利した者こそが正に最強なのだと思う程に。