第72章 邂逅、別離
情けないなぁ。
せっかく皆さんに鍛えてもらったのに。
最近また足でまといに戻ってしまった気がする。
子を産んで体力が著しく落ちたのも無関係では無いが。
……あれが鬼子では無く、人の子であったならば。
私は母となれたのだろうか?
いや、例え母になれたとしても、足枷になってしまうかもしれない。
それは嫌だ。
「白藤さん?」
玄弥が首を傾げる。
「何でも、ありません……」
そう、今は戦いの最中。
相手は昔、唯一私の心を掴んだ方。
でも、人の頃とはきっと何かが変わってしまった。
彼が………
今も隣りに居たのなら………
いいや、隣りに居るのが巌勝であっても自分が選ぶ道は変わらなかっただろう。
ただ、生きていて欲しかった。
その願いはかなっていたが。
その道を、鬼となる道を選んで欲しくはなかった。