第71章 残荷、陽炎
猗窩座は感じた。
この二人とは決着をつけるまで終わらないのだと。
だが、終わるのが惜しいとも思っている。
猗窩座が望むのは強者との戦い。
故に……
「惜しいな。この場でどちらかが鬼になれば宴は終わらないのに。あの夜、虫の息になった杏寿郎を見て分かったんだ。人の脆さを」
「猗窩座……」
「随分と怖い顔をするじゃないか。炭治郎」
「お前は……」
「竈門少年」
「煉獄さん……」
「猗窩座。勝負をしよう。俺と一対一で」
「杏寿郎。分を弁えろ。お前はあの日俺に負けたんだ。一対一かどうかは俺が決めるんだよ、弱者には選択権が無いのだから」