第13章 好きって何ですか?$
「俺は家族のことを考えると胸のこのあたりが温かくなるんです。大切で愛しくて…」
「愛しい?」
「はい。その人のことを思うとまるで自分のことのように嬉しくなったり悲しくなったり。そんな風に思うことを人は恋と呼ぶんです」
「恋…」
「今、目を閉じて一番大事な人を思い描いた時、真っ先に出てきた人が白藤さんにとって一番大事な人なんだと思いますよ」
真っ先に、思い浮かぶ人。
「痛く…なかったか?」
触れられる指が暖かい。
先日、不死川にぶつけられた傷を気遣ってくれた冨岡の顔が浮かぶ。
「何、で…?」
はらはらと落ちる涙に。