第71章 残荷、陽炎
伊黒と甘露寺が鳴女を相手取る中、伊之助は先程とはまた違う広間にやって来ていた。
「何処だ?ここ」
「何だ?お前。変な格好の鬼狩りだな?」
鬼が伊之助の格好を揶揄する。
「あぁ?お前こそ、誰だよ、雑魚鬼が!!」
「待て」
もう一つの扉から善逸が出てきた。
「あぁ!?今度は何だ……」
「そいつの相手は俺がする。伊之助は下がっててくれ」
「…………俺に命令すんな、もん逸……」
何だこいつ、いつもと雰囲気が違ぇ。
「カァー、撃破ー!!上弦ノ弐撃破ー!!」
「何だ童磨とかいう鬼、負けたのか。大したことなかったんじゃねぇか?」
「何だ、コラ!!俺と音のおっさんとカナヲとしのぶで倒したんだぞ!!」
「そうか、お前は凄いよ。伊之助」
「そうだ、俺様は凄いんだ!」
「だけどさ、伊之助。今回の、この鬼は俺の兄弟子なんだ。同門から鬼が出たんだ。だから、俺が責任取って頸を斬らなきゃならない……」
「兄弟子?」
「俺より前に爺ちゃんに弟子入りして、一緒に隊士になるための修行をしてたんだ」
「じゃあ、そいつ鬼殺隊の裏切り者じゃねぇか?」