第70章 氷中の激情
先程から胡蝶が童磨に様々な種類の毒を打ち込んでいるが、悉(ことごと)く効いていないのは、完全に誤算だ。
「チッ。伊達に上弦はってねぇわけな……」
宇髄は正直手詰まりを気にしていた。
人間は鬼のような圧倒的な肉体強化が出来ない。
だからこそ、技を使い、短期決戦に持ち越すのだ。
だが、現状では柱二人で相手をしていても、勝てる気がしない。
勝利の糸口が見えない。
宇髄は童磨の扇を押さえ込み、おいそれと血鬼術が使えぬようにしていた。
対する童磨はと言えば、まるで遊んでいるかのように、目を輝かせ、にこにこと笑みを浮かべながら胡蝶の相手をしている。
童磨を野放しには出来ないが、無惨を殺せば童磨も止まるのではないか?
という考えが頭を過ぎるが……
「考えごとかい?」
「っ!!」
しまった、反射的に距離を取っちまった!
「血鬼術・蓮葉氷」